再診断・報告書・報告会の費用の扱い|総額比較で見落とす項目
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
再診断・報告書・報告会の費用の扱い|総額比較で見落とす項目
再診断・報告書・報告会の費用は、総額に含まれるかだけでなく、回数、期限、成果物の条件まで確認して比べます。初回の診断範囲が同じように見えても、改修後の確認、報告書の内容、説明の範囲が異なれば、同じ条件の見積ではありません。
発注者は、総額を読む前に、何が含まれるかを条件ごとに分けます。再診断の回数を一般化したり、報告会が当然に付くものと扱ったりせず、今回の対象、期限、成果物を見積書と比較表で確認します。
総額に含まれる作業を確認する
総額に含まれる作業を確認することは、初回の診断、再診断、報告書、報告会を別々の条件として扱うことです。作業名が見積書に記載されていても、対象、回数、期限、説明の範囲まで確認しなければ、総額に何が含まれるかを判断できません。
| 作業 | 確認する事項 | 見積条件に残す内容 |
|---|---|---|
| 初回の診断 | 対象、確認範囲、対象外 | 対象一覧と診断深度 |
| 再診断 | 対象、回数、期限、変更時の扱い | 改修後に確認する範囲 |
| 報告書 | 記載する内容、提供形式、対象との対応 | 必要な成果物 |
| 報告会 | 実施の有無、参加者、説明の範囲 | 質問への対応と追加条件 |

初回診断と再診断の範囲を分ける
初回診断と再診断の範囲を分ける際は、改修後にどこまでを確認するのかを明記します。初回に確認した対象をそのまま全て扱うのか、改修した部分を中心に扱うのか、対象の追加があった場合はどうするのかで条件が変わります。再診断が見積に含まれると書かれていても、対象や期限が書かれていなければ、比較の条件としては十分ではありません。
見積書には、再診断を依頼できる場合の回数だけでなく、期限、対象変更時の扱い、必要な連絡方法を残します。改修の内容や対象が変わったときは、当初の条件との差分として確認します。発注者側の比較表に初回と再診断を別の欄で記録すると、総額の差が作業範囲の違いによるものかを確認しやすくなります。
初回の対象と発注条件を整理する段階では、セキュリティ診断の発注ガイドの確認項目も使えます。再診断では、改修した箇所だけでなく、関連する機能や連携部分を含めるかを明らかにします。対象外にする部分があれば、その理由も当初の条件と対応付けて残します。
報告書と報告会の成果物を分ける
報告書と報告会は、どちらも説明に関わるものですが、同じ成果物ではありません。報告書では、確認した対象、対象外、結果の整理、必要な説明がどこまで含まれるかを確認します。報告会では、実施の有無、参加者、説明の範囲、質問への対応を別の条件として記録します。
発注者が必要とする説明は、取引先への回答、社内の対応検討、管理者への共有などで異なります。必要な相手と利用場面を整理してから、報告書と報告会に求める内容を見積条件へ写します。報告書があるから報告会も含まれる、または報告会があるから同じ説明が受けられると決めつけず、条件ごとに確認します。
報告書で確認したい内容と、報告会で質問したい内容を分けておくと、説明の重なりや不足を確認できます。報告書の受領後に質問する機会を求める場合は、その対応が報告会の条件に含まれるかも記録します。発注者側で利用目的を先に共有すれば、成果物の条件を比較表の同じ欄へ整理できます。
再診断の条件を揃える
再診断の条件を揃えることは、改修後の確認について、回数、期限、対象、追加条件を同じ欄に記録することです。回数だけを比較しても、対象や期限が異なれば、発注者にとって同じ内容の条件とは言えません。
| 条件 | 確認する内容 | 比較表に残す欄 |
|---|---|---|
| 回数 | 初回後に確認できる回数 | 含まれるか、追加条件があるか |
| 期限 | 改修後の確認を依頼できる期間 | 起点と期限の扱い |
| 対象 | 改修部分か、初回の対象全体か | 対象の定義と対象外 |
| 変更 | 追加対象や仕様変更時の扱い | 再見積が必要な条件 |

改修後にどこまで確認するかを記録する
改修後にどこまで確認するかを記録すると、再診断の条件を初回の診断と区別できます。改修した部分だけを対象にするのか、関連する画面や機能を含めるのか、初回に対象外だった領域を追加できるのかを確認します。対象の説明を口頭だけで済ませず、見積比較に使う資料にも反映します。
改修の内容は発注者側で整理し、どの対象に変更があったかを依頼先へ伝えます。変更した機能と、再診断で確認したい範囲を対応付けると、依頼先からの質問にも答えやすくなります。初回の対象一覧をそのまま再利用するのではなく、変更後の状態と対象条件を確認することが重要です。
確認方法と対象範囲の関係は、手動診断とツール診断の違いでも整理できます。再診断で用いる確認方法が初回と異なる場合は、その違いを対象欄と成果物欄の両方に残します。改修範囲の説明と確認方法を対応付けることで、初回の条件をそのまま前提にした比較を避けられます。
期限と追加対象の扱いを確認する
期限と追加対象の扱いは、再診断を見積条件として読む際に見落としやすい点です。期限の起点が初回の実施日なのか、報告書の受領時なのか、改修完了時なのかを確認します。追加対象が生じた場合に、当初の条件に含まれるのか、別の条件として扱うのかも分けて記録します。
発注者側の変更予定がある場合は、見積依頼の時点で共有します。予定が未確定なら、追加対象を当然に含むと扱わず、判断が必要な条件として残します。期限と対象変更の関係が分かれば、再診断を依頼する場面で当初の条件を確認しやすくなります。
期限内であっても、改修内容が当初の対象を超える場合は、同じ条件として扱えるかを確認します。追加する機能、画面、連携先があるときは、対象一覧と見積条件の両方を更新します。期限、対象、変更内容を一緒に記録すると、再診断の可否を回数だけで判断せずに済みます。
報告書と報告会の条件を確認する
報告書と報告会の条件を確認することは、発注時に必要な成果物と説明の範囲を具体化することです。結果をどのように受け取り、誰が説明を受け、質問への対応をどこまで求めるかを整理します。
| 確認するもの | 発注時に記載する内容 | 確認する相手 |
|---|---|---|
| 報告書 | 対象、対象外、必要な説明、提供形式 | 技術担当、事業責任者 |
| 報告会 | 実施の有無、参加者、説明の範囲 | 説明を受ける担当 |
| 質問対応 | 質問できる範囲、追加条件 | 発注担当、関係者 |

発注時に必要な成果物を明記する
発注時に必要な成果物を明記するには、社内で誰が何のために使うかを確認します。技術担当が対応を検討するための内容と、事業責任者が状況を把握するための説明では、必要な整理が異なる場合があります。対象、確認範囲、対象外、説明の範囲を、見積条件に対応付けます。
報告会を希望する場合は、参加者、説明してほしい範囲、質問への対応を記録します。報告書の提供形式や、質問を確認する時期も条件になります。必要な成果物を発注前に決めれば、総額の違いを単純な金額差ではなく、含まれる説明や対応の差として確認できます。
社内で受け取る担当が複数いる場合は、技術的な説明を受ける担当と、対応方針を決める担当を分けて整理します。報告書の対象一覧と報告会の説明範囲が対応しているかを確認すると、必要な情報がどちらで提供されるかを比べられます。質問への対応を希望する場合も、対象となる範囲と時期を見積条件に残します。
総額比較の表を作る
総額比較の表を作ることは、金額の前に、再診断と報告会を含む条件を同じ書式で記録することです。初回の診断範囲に加えて、再診断、報告書、報告会の欄を設け、別料金や追加条件を見えるようにします。
| 比較する欄 | 確認する条件 | 記録する理由 |
|---|---|---|
| 対象数と深度 | 初回に確認する範囲 | 初回条件をそろえる |
| 認証後画面 | 含める機能と利用者区分 | 対象の違いを確認する |
| 再診断 | 回数、期限、対象変更 | 改修後の条件を確認する |
| 報告会 | 実施、参加者、説明、質問対応 | 成果物の違いを確認する |

別料金の条件を比較欄に残す
別料金の条件を比較欄に残すことは、含まれない作業を見積の外に追い出さないために行います。再診断、報告書、報告会のうち、どれが総額に含まれるか、追加条件があるかを項目ごとに確認します。金額を一般化するのではなく、発注者が必要とする作業がどの条件で扱われるかを整理します。
IPAが公表する情報セキュリティサービス基準適合サービスリストは、脆弱性診断サービスなどの区分を確認する入口です。掲載状況は、報告書や再診断の条件を個別に判断する結論ではありません。発注者は、区分の確認と、対象、成果物、追加条件の比較を別の作業として進めます。2026-09-11確認。
比較表の欄は、見積書の表現をそのまま並べるのではなく、発注者が確認したい条件へ置き換えます。記載がない項目は空欄のまま判断せず、確認が必要な条件として質問先と一緒に記録します。こうしておくと、総額に含まれない作業を後から見落としにくくなります。

よくある質問
再診断は必ず見積に含まれるか
見積に含まれるか、回数・期限・対象変更の条件があるかは依頼先ごとに確認します。一律に含まれるものとは扱いません。初回と再診断の対象を分け、改修後にどこまでを確認するか、追加対象が出た場合にどう扱うかを比較表に残します。
報告会は何を確認すればよいか
実施の有無、参加者、説明の範囲、質問への対応、報告書との関係を見積条件に記載します。報告書があるかどうかだけで判断せず、誰がどの説明を受ける必要があるかを社内で整理します。追加条件があれば、総額の欄とは別に記録します。
報告書の内容まで比較できるか
発注時に必要な成果物と説明の範囲を明記し、同じ条件で比較できるようにします。対象、対象外、確認範囲、必要な説明、提供形式を対応付けます。見積書の表現が異なる場合は、発注者側の比較表で同じ欄に整理して差分を確認します。
まとめ
再診断、報告書、報告会は、総額に含まれるかだけでは比較できません。初回の診断範囲と再診断の対象、回数、期限、報告書、報告会、質問対応を別々の条件として記録します。発注者が必要な成果物を先に整理し、別料金や追加条件も比較表に残すと、総額の違いを読み取りやすくなります。
費用全体は脆弱性診断の費用構造、Webアプリの条件はWebアプリケーション診断の費用構造、プラットフォームの条件はプラットフォーム診断の費用構造で確認できます。費用に関する記事は費用の記事一覧へ進めます。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- IPA「情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト」(ipa.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。セキュリティ診断の調達実務と IPA 適合サービスリスト・SCS評価制度について、IPA・JASA・経済産業省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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